早生まれは作家になりやすい?

1月1日から4月1日に生まれたいわゆる「早生まれ」。国内の作家のにもなぜかこの「早生まれ」が多いという話が文壇でささやかれているという。
明治から大正期にかけて活躍した夏目漱石と森鴎外はともに2月生まれ。日本人で2人目のノーベル賞作家となった大江健三郎と、世界中に熱狂的なファンがいる村上春樹は1月生まれだ。これは偶然か、それとも必然なのだろうか?
この話題をユーモアを交えて取り上げたのが老舗文芸誌「文学界」平成27年1月号だそうだ。
「作家には早生まれが多いという説をよく耳にする。発信源は、1967年3月8日生まれの角田光代さんらしい」
同号巻末にある相馬悠々のコラム「鳥の眼・虫の眼」はそう筆を起こし、近年の早生まれ作家の増加ぶりを紹介している。確かに江國香織は3月生まれ、綿矢りさは2月生まれなど、最近の人気作家には早生まれが目立つ気もする。現在の芥川賞選考委員9人のうち8人が早生まれ、直木賞選考委員についても早生まれが9人中5人とやはり多数派のようだ。
早生まれは1年のうち約3か月であるので、これは異常に高い率と言える。一体なぜなのだろうか?
理由としてまことしやかに語られているのは、初等教育で目立つ心身の発育差に関する話だ。直木賞作家の角田光代は「WEB本の雑誌」の「作家の読書道」というインタビューで自身の幼少期をこう振り返っている。
「私は早生まれなので、保育園に行くとみんなよりも小さくて。他の子ができることもできなくて。うまく喋れなくておしっこが言えなくておもらしするような子だったんです。それで、他とのコミュニケーションは取れないけれど、本を置いていればとりあえず時間が過ぎる、ということを知って、読むようになったんです」
同級生との発育差によってコミュニケーションで挫折を味わう。結果、一人で没頭できる本の世界へ深く入る。豊富な読書経験が作家としての木曽を形作っていく、そんな構図が浮かび上がる。
早生まれの子供は4月生まれなどの子に比べて月例が低いので、小学校入学時点ではどうしても心身ともに幼い。そのため内向的になりやすいのかもしれない。
とは言え偶然だと一蹴する作家もいるので、この説はあくまで仮説と捉えておいた方が良いだろう。