仮想アイドル戦国時代

テレビアニメ「ラブライブ!」が劇場版アニメとなった『ラブライブ!The School Idol Movie』が映画動員ランキングで驚異の3週連続1位を獲得したそうだ。同作のようなアイドルを目指す少女を描いた”アイドルアニメ”が熱狂的なファンを増やし続けている。
『ラブライブ!The School Idol Movie』は6月29日時点で累計興行収入は11億9,442万3,320円とと10億円の大台を突破。同作のように深夜アニメから劇場映画が作られたアイドルアニメのヒット作には、昨年100館弱の上映館で累計興収6億7,842万2,000円を記録した『THE IDOLM@STER MOVIE 輝きの向こう側へ!』が挙げられる。この2作品の”今はやりのアイドルアニメ”の共通点とは何なのだろうか?
深夜アニメの続編として劇場版が作られた「ラブライブ!」「THE IDOLM@STER」だが、両作品ともアニメからスタートしたわけではない。
「ラブライブ!」は2010年に雑誌「電撃G’s magazine」でアスキー・メディアワークス、サンライズ、ランティスによるメディアミックスのユーザー参加型アイドル育成プロジェクトとしてスタート。誌面では彼女たちのショートストーリーが掲載されたほか、グループ名などの公募で積極的にファンの意見を取り入れたり、CDのセンターを決める”総選挙”を行ったりとファンの声を積極的に作品に反映していった。そして2013年に開始したアニメや、スパートフォン向けアプリゲーム「ラブライブ! スクールアイドルフェスティバル」で人気が加速した。
一方の「アイドルマスター」は2005年7月にバンダイナムコゲームスが開発したアーケード用シミュレーションゲームとして誕生。ゲームのプレイヤーは芸能事務所のプロデューサーとして、所属するアイドルたちをトップアイドルに育てることを目的にアイドルの曲や衣装などを選び自分好みの演出でステージを成功させてゲームを進めていく。2007年にはキャラクターをモチーフにしたロボットアニメ「アイドルマスター XENOGLOSSIA」が作られ、2011年にはゲームを基にした「THE IDOLM@STER アイドルマスター」としてテレビアニメ化。現在も家庭用ゲーム機などで新作ゲームが発売されているほか、200人以上の新キャラクターが登場するソーシャルゲーム「アイドルマスター シンデレラガールズ」など派生作品も次々に登場している。
アイドルの成長をファンが見守る図式は、1970年代に一世を風靡したテレビ番組「スター誕生!」の時代から脈々と受け継がれているが、「ラブライブ!」「アイドルマスター」の原作のようにアイドルの育成方針にファンを自主的にかかわらせようとする方法は、現在のアイドル界でもAKB48を筆頭とする最近はやりの手法だ。自分たちの応援が明確に見える場所はファンに応援することへの意義や充足感を与え、より熱心なファンを生む。
そして劇場アニメで、キャラクターたちが普通の少女からアイドルになる姿を追ったテレビアニメの物語を締めくくる。両作品ともアイドルとして成長したキャラクターたちが次の世代にバトンをつなぐことをテーマとしており、ファンにとっては単なるアニメの続編ではなく、キャラクターたちの最後の勇姿を捉えた作品となったことが映画がヒットした一因になっていると考えられる。
こうした手法を取り入れた新たな作品にも今後期待が高まりそうだ。